こんにちわ。

子供達が小さな頃から10数年間、ホームステイの受け入れを毎年2-3回してきました。
様々な国の人が日本の家庭を経験したくてホームステイにやってきます。
ステイする人にとっても食事は楽しみであり、でもちょっと不安な事でもあります。
『相手が用意してくれた食事をちゃんと食べられるかな?』『嫌いなものが出たらどうしよう・・・』なんて思っているかも。
私もゲストの食事に関しては、いつもいろいろ考えます。小さい子の好き嫌いから始まり、アレルギー、倫理上の考え方、そして日本人だと最初は慣れないのですが、宗教上の理由で特定の食べ物を食べられない人がいます。
日本に来たのだから、こちらのものを食べなさいと思う人もいるかもしれませんが、相手を尊重し、ダメな理由を理解して、無理せず楽しい思い出を作って欲しいなと思っています。
この記事を読むと、次の事が分かります。
受け入れる前にゲストの調査表で確認しておくべきこと

ホームステイを受け入れる前には、仲介団体からゲストが記入した参加者調査表(インフォメーションシート)をもらいます。
調査表には、ゲストの名前、住所、連絡先、年齢、職業(学年)、喫煙(大人のみ)、ペット、趣味など事細かく記入されています。その中でも特に注意しなくてはいけないのが、健康・アレルギーに関すること、食べ物の制限、宗教です。
食事は、海外にステイする時の楽しみの一つだと思います。受け入れる側としては、なるべく安全に楽しく食事をしてほしいといつも思います。
心を尽くした食事でも、色々な理由で食べてもらえない事もあります。

どんな理由で食べられないの?

うん、理由はいろいろあるの。一つずつ丁寧に説明するね。
ゲストは、ほとんどの人がこちらに合わせる努力をしてくれますが、それでも食べられないことがあります。
理由は様々で、好き嫌い(お子さんが多いです)から食物アレルギー、ベジタリアンやビーガンなど倫理上の考え方、宗教で食べる事が禁止されているなどです。
好き嫌いが多くてあまり食べるものがない場合はどうしますか?
好き嫌いで食べられないことは、子供のゲストにはよくあることです。
例えば、うちにステイしたアメリカの男の子は、お野菜が本当に嫌いで、ステイ中は本当にお野菜を食べられませんでした。
自分の子が海外に行ったら食事をちゃんと食べられているかな?と心配になります。どの国の親御さんもきっと同じだと思います。
嫌いなものが多いのは心配ですが、何より何も食べない事の方が心配です。私もアメリカの男の子が食事に手を付けないのが心配で、野菜にはこだわらずに食べられそうなお肉やポテト、焼きそばなど、子供が好きそうな食事を作りました。アメリカの中学生男子は、そんな食事をとても美味しそうに食べてくれて、私もほっとしました。
1年間の受け入れなら、健康が心配なので、お野菜料理を工夫するかもしれませんが、数日なら楽しむのが一番という気持ちで、好きそうなものを用意してあげるのが良いと思います。
アレルギーには特に注意しましょう。

アレルギーには命に関わるものもあり、とても慎重になります。ちゃんと調査表を見て、危ない食べ物がないか毎回必ず確認をします。
幸い、重度の食物アレルギーのゲストには当たった事がないのですが、ピーナッツアレルギーなどはアナフィラキシーを起こす事が多く、要注意のようです。
受け入れ時ではないのですが、会社でお菓子を配った時、ソバの成分が少しだけ入っていて、そばアレルギー持ちの後輩が呼吸困難になってしまいとても慌てました。それ以来、アレルギーの人が周りにいる時は、食べる前に成分を必ず細かくチェックするようになりました。

アレルギーは怖いですが、ちゃんと注意すれば大丈夫なんですね。
ベジタリアン・ビーガンってどんな人?

ベジタリアンやビーガンは、食べられないのではなく、健康の為だったり、生き物の命を奪わないという信念を持って、自主的に食べない人達です。
【 主なベジタリアンの分類 】
動物肉/魚介 | 卵 | 乳製品 | ハチミツ | |
卵乳菜食 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
乳菜食 | × | × | 〇 | 〇 |
ビーガン(完全菜食) | × | × | × | × |
私に知識がなかった頃、ベジタリアンの人はお野菜しか食べないと思っていましたが、受け入れをする様になってから、お肉やお魚は食べないけど、卵や牛乳は食べられる人がいることも分かりました。
うちにステイしたドイツの男の子は、『家族では自分と妹だけがベジタリアンで、両親はお肉をたべます。』と説明してくれました。
小さい頃に、授業で畜産のことを勉強して生き物を殺して食べることに疑問を持ち、食べるのをやめたそうです。ご両親は、子供達2人の考え方を尊重してくれているとのこと。
家族でも、それぞれの考え方を持っていて、押し付けずに尊重するのは素敵な事だと思いました。
もう一人、同じくドイツの女性は健康の為にベジタリアンになったとのこと。
『普段はベジタリアンだけど、無理矢理押し通す事はしたくないので、日本にいる間は気にしないようにします』と、もてなす側の気持ちを気遣ってくれました。
彼女は、日本の緑茶が大好きでした。
どちらの受け入れも、出来るだけお野菜のメニューを考えました。
天ぷらやお豆腐のすき焼きなどはとても喜ばれました。最近だと、大豆ミートも食感や味が良くなっている様です。工夫次第で、美味しい日本食を作ってあげられますね。
宗教上の理由で食べられないものがある時の食事について

宗教で禁止されている食べ物がある人がステイする時は、事前にいろいろ調べて慎重にメニューを考えます。
イスラム教の人は、豚肉・豚のエキスは禁止されています。
そして、ヒンドゥー教の人は、聖なる動物である牛を食べません。
日本人で宗教を持つ人はそれほど多くないので、普段意識することがなかったそんな習慣はとても驚きです。
【宗教で禁止されている食物】
ヒンズー教 | 牛(神聖なものとして) 、 豚(不浄なものとして) |
イスラム教 | 豚(不浄なものとして) 、アルコール |
そして、そんな人たちに食べてもらうには、日本は思った以上に調味料が複雑で、使えるものが少ないことに驚きます。
食事を作る時、料理酒はもちろんみりんも醤油(発酵食品の為)も使えず、豚から抽出したエキスが入った調味料全般がダメ。マヨネーズ、ケチャップ、ソース、酢も、だしもです。自宅で普通に使っている調味料はほとんど使えません。
そんな時は、塩、胡椒、砂糖など、基本的で単純な調味料と鰹節や煮干し、野菜でとっただしで料理をします。
そして、食べる前には、原材料や調味料、作り方を丁寧に説明して安全な事を伝えます。
困るのは外でピクニックでもしようと何家族かで集まり、お惣菜やお弁当を買う時です。
お店の人に確認しても、ちゃんとした答えはもらえないことが多いのです。チェーン店が多いので、作っているのは別の場所という事もあり、販売している人には詳細がわからない様です。

ネコ島さん
このお惣菜は、豚のエキスが入った調味料は使っていますか?

すみません。調味料については分かりかねます。
おにぎりもサンドイッチもお惣菜も怪しい。結局、友人が自宅で作ってきた、シャケ(瓶詰めでなく、焼いたもの)やたらこ、塩のおむすびと砂糖や塩で味付けした卵焼きを分けてもらって食べてもらいました。
今は”ハラル”というイスラムの人が食べてもいい食材専門のお店を見かけるようになったので、そういうお店の助けを借りるのもいいですね。質問すればいろいろ教えてくれます。
また、キッコーマンから製造工程でアルコールが出る過程の発酵を抑制し、小麦も使わないグルテンフリーのハラル醤油が出ているので、そういう調味料を使ったり、大豆が原料の大豆ミートで肉じゃがなんかも作ってあげられますね。
印象的な思い出があります。
家にステイしたインドの女性は、スーツケースの中に、大量の チャパティと手作りジャム を持ってきていました。びっくりする私に、『日本に来る前に「食べられるものがなかったら心配だから持っていきなさい」とお母さんが持たせてくれました』と説明してくれました。『食べてみますか?』彼女は私たち家族にそれをごちそうしてくれました。
(※チャパティ:全粒粉、塩、水だけで無発酵で作られた丸くて薄いパン)
愛情がこもっていてとても美味しいチャパティでした。
ちなみにチャパティとジャムは常温で2週間くらいもつとのことでした。

食べられない食事の事はわかったけど、海外の人に喜ばれた日本食やあまり食べてもらえなかった日本食はどんなものなの?

じゃ、次はそれについて私の経験を書きますね。
評判が良かった食事(外食含む)

外国の人に人気なのは、日本食としてあまりにも有名なお寿司(自宅バージョンだと鮭といくらのちらし寿司とか)天ぷら、トンカツ、唐揚げ、焼きそばです。
そのほか、お好み焼きやたこ焼き(タコが苦手な人にはソーセージで)などはその場で作ると、イベント性もあって楽しいですよ。
そして甘辛の味付けも人気が高く、すき焼き、牛丼は好きな人が多いメニューです。
また、ラーメン、(豚骨、家系が人気)は、外食では喜ばれるメニューでした。
イタリアの男の子は、日本でラーメンを食べるために人気店の列にならびました。それもいい思い出だと喜んでくれました。

ゲストが好きだった食事食べると、ゲストの笑顔が思い浮かびます。
食事には幸せな思い出が重なりますね。
評判が悪かった食事

日本食に慣れていない人には、納豆(『匂いが苦手です』)、海苔(『食べ物にみえません』)、梅干しおよび漬物(『味が苦手』)はあまり評判が良くありませんでした。
気遣って味見はしてくれますが、進んで食べたいとは思わない様です。
また、そうめんなど日本の出汁(だし)に慣れない人は、パンチがない味付けをあまり好ましく思わない様です。
でも、日本人としては、いろいろチャレンジしてほしい。なので、私は食べてくれないと決めつけずに、ダメ元でメニューに入れることにしています。話のネタにもなりますよ。
お酒について 飲酒可能な年齢とホストとしての対応

大人なら、夜はお酒で友好を深まることがよくあります。
受け入れの持ち寄りホームパーティーでも、お酒が少し入ると打ち解けるのが速かったなんてこともありました。
難しいのは、高校生や大学生を受け入れた時に、日本では20才からでも自国では18才から飲酒が許されている時です。
受け入れを仲介する団体によっては、ゲストに事前の説明会で、ステイ中はお酒は飲まないでと指導している所もあります。
基本は、海外に行くときはその国の法律に従った方が良いとされている様です。
ですので、ゲストが日本の飲酒可能年齢(20歳)に満たない場合はやんわりと止めていますが、どうしても日本酒を試してみたいと言われた時(自国で飲酒が許可されている場合)は、量を少なくしてもらい、危ないことがない様にちゃんと見ています。
※ご参考:【飲酒可能年齢一覧表】
16歳 | インドネシア、イタリア、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルグ、タンザニア、モロッコなど |
18歳 | オーストラリア、チェコ、デンマーク、ブラジル、シンガポール、ニュージーランド、ポルトガル、フランス、イタリア、スペイン、ルーマニア、リトアニア、ラトビア、ポーランド、ブルガア、ハンガリー、アイルランド、ウルグアイ、中国、台湾、モンゴル、メキシコ、ペルー、パナマ、コロンビア、アルゼンチン、ブータン、スリランカ、セルビア、南アフリカ、ケニア、トルコ、イスラエル、 インドなど |
19歳 | 韓国 |
20歳 | タイ、アイスランド、ニュージーランド |
21歳 | アメリカ、マレーシア、チリ、ウクライナ、ベラルーシ、サモア、エジプト |
州によって異なる国 | カナダ 18歳または19歳 |
※お酒の種類によって、年齢が異なる国 | イギリス、ドイツ(蒸留酒は18歳、ビール・シードルは16歳) ベルギー(蒸留酒は18歳、ビール・ワインは16歳) スイス(蒸留酒は18歳、ビール・ワインは州により14歳~16歳) フランス(蒸留酒は18歳、ビールは16歳) |
※場合によって年齢が異なる国 | ウガンダ(基本的には18歳がビールを含めたアルコール類を購入・飲酒できる年齢となっているのですが、レストランで1杯のビールやワインを注文して飲むことは16歳から許されます) |
※年齢が引き上げられた国や地域 | フランス 16 歳 から18 歳 に引き上げ(2009年) スペイン マドリード カタルーニャ、バレンシア 16 歳 から18 歳 に引き上げ (2002年) ロシア 18 歳 から21 歳 に引き上げ |
ホームステイの受け入れで気をつけたい食事のことと飲酒可能な年齢のまとめ

ゲストには日本の美味しいものを食べさせてあげたい。日本が好きだなぁって思って欲しい。
おもてなしに、食事は大切な要素ですよね。
でも、様々な理由で食べられないものがある人がいます。
それは受け入れる前にもらうゲスト(ホームステイで受け入れる人)の調査表(インフォメーションシート)で確認する事ができます。
主な理由は、小さい子の好き嫌い、食物アレルギー、倫理上の考え方(ベジタリアン、ビーガン)、宗教によるものです。
食事を用意する上で、制限があるのは大変ですが、喜ぶ顔をみたいから、安心安全でおいしい日本食をごちそうしたいと思います。
わからなければ、ゲストに好きな物や食べられるものを確認してみましょう。
おもてなしの気持ちは必ず相手に伝わりますよ。
See You!
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